会社の場合、取締役1名だけでも(従業員を雇用していなくても)、狭い意味での社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する義務があります。
 また、従業員を1名でも雇用した場合には、労働保険(労災保険・雇用保険)に加入する義務があります


労災保険
雇用保険
健康保険・厚生年金
正社員
パートタイマー
労働時間
週20時間未満
×
×
パートタイマー
労働時間
週20時間以上
×
パートタイマー
労働時間正社員
4分の3以上
法人の取締役
実質的に従業員の身分
あり
法人の取締役
実質的に従業員の身分
なし
×
×
○:加入義務あり ×:加入義務なし
※70歳以上の人は原則として厚生年金保険に入らず、健康保険のみに加入します。

  社会保険加入のメリット

1.従業員の採用・定着

 言うまでもなく、求職中の方々は、社会保険が完備している会社に就職することを希望しています。ですから、社会保険が完備しているだけで、社会保険が完備していない会社よりも従業員の採用が容易になり、定着率も高まることが多いです。

社会保険を完備していないことにより、
 ◎法律違反を犯している会社である(法令順守の文化がない)
 ◎手取りの給与が多くても、国民健康保険や国民年金の保険料を全額自己負担しなければならない
 ◎会社が従業員を大切にしていない
と思われても仕方がありません。

 今や社会保険の完備は、最低限の福利厚生である以上、社会保険の完備なくして、優秀な人材の確保・定着は困難です。また、優秀な人材の確保・定着なくして、厳しいビジネスの競争に勝つことも困難です。


2.
従業員のやる気向上・トラブル防止

 経営者と従業員の関係がいつも良好であるためには、従業員が満足できる待遇を与える必要があります。
 ところが、社会保険が完備していないと、従業員は、国民健康保険料や国民年金保険料を全額自己負担しなければならないために、経営者に対して不満を持ち、やる気をなくすばかりか、社会保険加入義務違反を役所に密告するなどのトラブルも起こしかねません。
 従業員のやる気を引き出し、トラブルを防止し、事業を順調に成長させるためにも、社会保険の加入は不可欠です。


3.
金銭的損害の防止

 社会保険事務所の調査などにより、社会保険に加入することになった場合、遡及して社会保険料を納付させられることもあります。
 また、労災保険の未加入中に労災事故等が発生した場合は、会社に補償義務があるばかりでなく、保険料のほかに費用を追加徴収される可能性があり、会社が社会保険料以上の多額な損害を被ることになってしまいます。
 このような金銭的損害を防止するためにも、社会保険の加入は不可欠です。


 健保と国保のちがい
 厚生年金と国民年金のちがい