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消費税の軽減税率導入への対応が必要 |
平成29年4月1日の消費税率10%への引上げと同時に、軽減税率が導入されます。それに伴い、インボイス制度(適格請求書等保存方式)が平成33年4月1日から導入されます。 |
(1)軽減税率制度の導入(平成29年4月1日~)
軽減税率の対象品目と税率は図表1のとおりです。 |
軽減税率 |
8%(消費税6.24%・地方消費税1.76%) |
対象商品 |
①飲食料品(酒類及び外食サービスを除く)
②定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞 |
(2)インボイス制度の導入(平成33年4月1日~)
現行の請求書等を保存する方式に代えて、インボイス制度が導入されます。この制度は、「適格請求発行事業者」(仮称)(注1)から交付を受けた「適格請求書」(仮称)(注2)の保存を仕入税額控除の要件とする制度です。なお、インボイス制度が導入されるまでの間については、現行の請求書等に手を加える簡易方式が採用されるなどの経過措置が設けられます。 |
≪平成29年4月から同33年3月までの間の経過措置≫
①原則: |
現行の税額計算方法を維持。仕入税額控除の要件として、下記イ及びロの事項が追加記載された請求書等(区分記載請求書等)を保存します(帳簿も下記イの事項を追加記載の上、保存)。
イ.軽減税率の対象品目である旨
ロ.税率の異なるごとに合計した対価の額
*これらは請求書等の交付を受けた事業者が事実に基づいて追記することが認められます。 |
②特例: |
売上げ又は仕入れを異なる税率ごとに区分することが困難な事業者には、売上税額又は仕入税額を簡便に計算することが認められます。 |
(注1) |
適格請求書発行事業者は、免税事業者以外の事業者で、納税地を所轄する税務署長に申請書を提出し、適格請求書を交付する事のできる事業者として登録を受けた事業者をいいます。登録申請は、平成31年4月1日から受け付けられます。 |
(注2) |
適格請求書発行事業者の登録番号、適用税率、消費税額等の一定の事項が記載された請求書、納品書等をいいます。 |
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~平成29年3月31日 |
平成29年4月1日~
同33年3月31日 |
平成33年4月1日~ |
消費税率 |
8% |
10% |
軽減税率 |
- |
8% |
仕入税額
控除の要件 |
現行どおり
(請求書等の保存) |
区分記載請求書等保存方式
(経過措置) |
インボイス制度
(適格請求書等の保存) |
固定資産税 |
新規の機械装置の投資について固定資産税を半減 |
中小企業者等(資本金が1億円以下の企業など)が新規に取得する一定の機械装置について、3年間、固定資産税の課税標準を2分の1に軽減する特例が創設されます。例えば、平成28年中に取得した設備は、平成29年1月1日時点に所有する資産として申告され、平成29年、30、31年度の3年間固定資産税が半減されます。赤字の中小企業が機械等を取得した場合などにも減税効果が期待されます。 |
●「中小企業の生産性向上に関する法律」(仮称・以下「新法」)の認定計画に
基づき取得する新規(販売開始から10年以内のもの)の機械装置設置(新品)
●1台または1基の取得価額が160万円以上のもの
●旧モデルと比べて生産性が年平均1%以上向上するもの |
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新法の施行日から平成31年3月31までの間に取得したものに適用されます。 |
法人税 |
生産性向上設備投資促進税制は適用期限をもって廃止(縮減) |
平成26年度から適用とされている、年平均1%以上の生産性を向上させる等の設備を取得した場合の即時償却及び税額控除率の上乗せ措置は、適用期限の平成28年3月31日をもって廃止され、同促進税制は適用期限(平成29年3月31日取得分まで)をもって終了します。) |
法人税 |
法人税率を23.4%に引き下げて企業の税負担を軽減 |
法人税率(現行23.9%)が次のように段階的に引き下げられます(図表3)。これにより法人実効税率は図表4のようになります。 |
図表3 法人税率の引下げ
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現行 |
平成28年4月1日以後に
開始する事業年度 |
平成30年4月1日以後に
開始する事業年度 |
普通法人等の法人税率(注) |
23.9% |
23.4% |
23.2% |
(注) |
資本金1億円以下の法人等の所得金額のうち、年800万円以下の部分に適用される税率(原則19%)については改正はありません(平成29年3月31日までに開始する事業年度については15%)。 |
改正前:法人税額=(800万円×15%)+(400万円×23.9%) =215.6万円
改正後:法人税額=(800万円×15%)+(400万円×23.4%)=213.6万円
*したがって2万円(215.6万円-213.6万円)の減税になります。 |
図表4 法人実効税率の推移
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現行 |
平成28年度 |
平成30年度 |
国の法人税率 |
23.9% |
23.4% |
23.2% |
(参考)大法人向けの法人事業税所得割
*平成28年度までは、地方法人特別税を含む
*年800万円超所得分の標準税率 |
6.0% |
3.6% |
3.6% |
(参考)国・地方の法人実効税率
<標準税率ベース>※ |
32.11% |
29.97%
(▲2.14%) |
29.74%
(▲2.37%) |
※東京都ベースであれば、現行の法人実効税率は33.06% |
法人税 |
中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例の見直しと延長 |
中小企業者等が取得した30万円未満の減価償却資産(年間取得合計300万円を限度)を全額損金算入(即時償却)できる措置は、中小企業のマイナンバー制度への対応や消費税率の引上げに対する設備導入を支援するため、適用期限が2年延長されます。ただし、従業員1,000人超の法人は対象から除外されます(図表5)。 |
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平成30年3月31日までに取得・事業供用するものに適用されます
(除外規定は平成28年4月1日以降)。 |
図表5 少額減価償却
取得価額 |
償却方法 |
30万円未満 |
全額損金算入
(即時償却) |
20万円未満 |
3年間で均等償却
(残存価額なし) |
10万円未満 |
全額損金算入
(即時償却) |
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中小企業者のみ。従業員1,000人超の法人を除外し2年延長(年間取得合計300万円まで) |
}全ての企業 |
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法人税 |
中小法人の交際費等の損金算入特例制度の延長 |
支出した交際費について、接待飲食費に対する損金算入の特例(1人当たり5,000円以下の飲食費)及び中小法人の年間800万円以下の全額損金算入特例が2年延長されます。 |
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平成30年3月31日までに開始する事業年度に適用されます。 |
建物附属設備及び構築物並びに鉱業用の建物の償却方法について定率法が廃止されます(図表6)。これにより、これらの資産について、取得後、早期に償却額が多くなる定率法のメリットが受けられなくなります。 |
図表6 建物附属設備等の償却方法の改正
資産の区分 |
償却方法 |
建物附属設備及び構築物(鉱業用のこれらの資産を除く) |
定額法 |
鉱業用減価償却資産(建物、建物附属設備及び構築物に限る) |
定額法又は生産高比例法 |
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平成28年4月1日以後に取得するものから適用されます。 |
個人と同じように企業版「ふるさと納税」制度が創設され、図表7のとおり、地域再生法の改正を前提に、青色申告法人が、地方創生推進寄附活用事業(仮称)に関連する寄附金を支出した場合、寄附金の一定額が法人住民税等から税額控除できるようになります。現行の損金算入措置(約3割の負担軽減)と合わせると、最大で6割程度の税負担軽減になりそうです。 |
図表7 企業版ふるさと納税の法人事業税・法人住民税・法人税の控除額等
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控除額 |
控除税額の上限 |
法人事業税 |
寄附金額の10% |
当期の法人事業税額の20% |
法人住民税 |
寄附金額の20%(注)
●道府県民税法人税割額から寄附額の5%
●市町村民税法人税割額から寄附額の15% |
当期のそれぞれの税額の20% |
法人税 |
「法人住民税から控除しきれなかった金額」と
「寄附金額の10%」のいずれか少ない金額を控除 |
当期の法人税額の5% |
(注) |
法人住民税について、平成29年度以後は道府県民税法人税割額から2.9%控除、市町村民税法人税割額から寄附金額の17.1%控除となります。 |
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地域再生法の改正法施行日から平成32年3月31日までの間に支出した寄附金に適用されます。 |
青色繰越欠損金の繰越期間を9年から10年に延長する改正が、当初の「平成29年4月1日以後に開始した事業年度」から「平成30年4月1日以後に開始した事業年度」に生じたものからに変更されます。 |
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住宅改修の特例の導入等で子育て世代を支援 |
のポイント
少子化への対応、子育て支援、空き家対策などのため、三世代同居の住宅改修リフォームに係る税額控除の創設や、空き家の譲渡所得の特別控除、セルフメディケーション(自主服薬)を推進する医療費控除の創設などが行われます。 |
所得税 |
住宅の三世代同居改修工事等に係る特例の創設 |
三世代同居に対応した一定の住宅リフォームについて、図表8のとおり、所得税の税額控除制度が導入されます。
※この借入金で住宅改修する場合の特例は、「住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税の特別控除」との選択適用とされ、控除期間は5年間となります。 |
図表8 所得税の控除額
借入金の
場合 |
①一定の三世代同居改修工事に係る工事費用(250万円を限度)
に相当する住宅借入金の年末残高2%
②①以外の住宅借入金等の年末残高1% |
自己資金の
場合 |
三世代同居改修工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10% |
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※ |
「一定の三世代同居改修工事」とは、ア)調理室、イ)浴室、ウ)便所 又は エ)玄関のいずれかを増設する工事(改修後、ア~エまでのいずれか2つ以上が複数となるものに限る)であって、工事費用(補助金の交付があるものは補助金額を控除した後の金額)の合計額が50万円を超えるなどの要件を満たすものをいいます。 |
※ |
摘要対象となる住宅借入金等は、償還期間5年以上のものとされます。 |
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平成28年4月1日から同31年6月30日までの間に居住した場合に適用されます。 |
被相続人(亡くなった人)のみが居住していた家屋とその敷地を相続した相続人が、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に、その家屋(注)又はその家屋と敷地を譲渡した場合(譲渡対価1億円超のものを除く)、その譲渡所得から3,000万円を控除することができる制度が創設されます。
(注)昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)で、相続開始から譲渡等の時までに事業用、貸付用、居住用とされていないなどの要件を満たすものをいいます。 |
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平成28年4月1日から同31年12月31日までの間に譲渡したものに適用されます。 |
所得税 |
医療費控除の特例としてスイッチOTC薬控除を創設 |
スイッチOTC薬とは、医師の処方が必要だった医薬品を薬局で買えるようにしたもの(例:ロキソニンSなど)のことです。健康の維持増進及び疾病の予防のために一定の取組み(注)を行う個人が、本人及び家族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入代金を支払った場合、その代金が年間12,000円を超えるときはその超える部分の金額(限度額88,000円)を、その年分の総所得金額から控除できる医療費控除の特例が創設されます。 |
(注) |
一定の取組みとは、以下の検診等又は予防接種(医師が関与するものに限る)をいいます。 |
①特定健康診査、②予防接種、③定期健康診断、④健康診査、⑤ガン検診 |
≪注意≫
本特例の適用を受ける場合、現行の医療費控除を受けることができないので注意が必要です。 |
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平成29年1月1日から同33年12月31日までの間に支払ったスイッチOTC医薬品の購入対価について適用されます。 |
地方から大都市圏への通勤など近年の通勤手当の実態等を踏まえ、通勤手当の非課税最高限度額が月額15万円(現行10万円)に引き上げられます。 |
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平成28年1月1日以後に受けるべき通勤手当について適用されます。 |
贈与税 |
結婚・子育て資金の一括贈与非課税制度の拡充 |
直系尊属(父母、祖父母など)から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合、受贈者1人につき1,000万円(結婚費用は300万円)まで贈与税が非課税となる制度について、その対象となる不妊治療の費用に薬局に支払われるもの(処方箋に基づいて処方されるものに限る)が追加となるなど、非課税対象が拡充されます。 |
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平成31年3月31日までに贈与されるものに適用されます。 |
平成29年4月からの消費税率10%への引上げに伴い、自動車取得税が廃止されるとともに、自動車税及び軽自動車税に環境性能割(注)が新たに導入されます。平成28年度に適用される自動車税及び軽自動車税のグリーン化特例(軽減措置)は見直しの上、延長されます。 |
(注) |
環境性能割とは、自動車の取得時に、「エネルギー使用の合理化等に関する法律」の燃費基準値の達成度に応じて、取得価額に対し0~3%の間で課税するというものです。 |
※詳しくは、笠原会計事務所まで、お気軽にお問い合わせください。 |
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