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平成20年度税制改正大綱(与党)を決定 |
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与党(自由民主党、公明党)は、平成20年税制改正大綱を決定し、公表しました。同大綱の要点は以下のとおりです。
平成20年度税制改正の具体的内容
一 地域間の財政力格差の縮小
二 経済活性化・競争力の強化
三「ふるさと納税」
四 環境問題、安心・安全への配慮
五 金融・証券税制
六 円滑・適正な納税のための環境整備
七 土地・住宅税制
平成20年度税制改正の具体的内容
一 地域間の財政力格差の縮小
地方税制については、更なる地方分権の推進とその基盤となる地方税財源の充実を図る中で、地方消費税の充実を図るとともに、併せて地方法人課税のあり方を抜本的に見直すなどにより、偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築することを基本に改革を進める。
この基本方向に沿って、消費税を含む税体系の抜本的改革において、地方消費税の充実と地方法人課税のあり方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組む。消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの間の暫定措置として、概ね2.6兆円の法人事業税を分離し、地方法人特別税を創設するとともに、その収入額を人口及び従業者数を基準として都道府県に譲与する地方法人特別譲与税を創設することにより、偏在性の小さい地方税体系の構築を進める。
1法人事業税(所得割及び収入割に限る)の税率の改正
法人事業税の標準税率を次のとおりとし、平成20年10月1日以後に開始する事業年度から適用する。
(1) 資本金の額又は出資金の額(以下「資本金」という)1億円超の普通法人の所得割の標準税率
現 行 改正案
年400万円以下の所得 3.8% 1.5%
年400万円超年800万円以下の所得 5.5% 2.2%
年800万円超の所得及び清算所得 7.2% 2.9%
(2) 資本金1億円以下の普通法人等の所得割の標準税率
現 行 改正案
年400万円以下の所得 5% 2.7%
年400万円超年800万円以下の所得 7.3% 4%
年800万円超の所得及び清算所得 9.6% 5.3%
(3) 特別法人の所得割の標準税率
現 行 改正案
年400万円以下の所得 5% 2.7%
年400万円超の所得及び清算所得 6.6% 3.6%
(特定の協同組合等の年10億円超の所得 7.9% 4.3%)
(4) 収入金額課税法人の収入割の標準税率
現 行 改正案
電気供給業、ガス供給業及び保険業 1.3% 0.7%
を行う法人の収入金額に対する税率
(注)3以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人のうち資本金1,000万円以上であるものの所得割に係る税率については、軽減税率の適用はない。
2 地方法人特別税の創設
(1) 地方法人特別税の基本的な仕組み
① 納税義務者等
地方法人特別税は、法人事業税(所得割又は収入割)の納税義務者に対して課する国税とする。
② 課税標準
法人事業税額(標準税率により計算した所得割額又は収入割額とす)
③ 税率
イ 付加価値割額、資水割額及び所得割額の合算額に 148%
よって法人事業税を課税される法人の所得割額に
対する税率
ロ 所得割額によって法人事業税を課税される法人の 81%
所得割額に対する税率
ハ 収入割額によって法人事業税を課税される法人の 81%
収入割額に対する税率
④ 申告納付
地方法人特別税の申告納付は、都道府県に対して、法人事業税と併せて行うもとする。
⑤ 賦課徴収
地方法人特別税の賦課徴収は、都道府県において、法人事業税と併せて行うもとする。
⑥ 国への払込み
都道府県は、地方法人特別税として納付された額を国に払い込むものとする。
(2) 適用期日
地方法人特別税は、平成20年10月1日以後に開始する事業年度から適用する。
3 地方法人特別譲与税の創設
地方法人特別税の収入額を、使途を限定しない一般財源として都道府県へ譲与する地方法人特別譲与税を創設する。地方法人特別譲与税の譲与の基準は以下のとおりとし、平成21年度から譲与する。
(1) 地方法人特別税の収入額から(2)の額を控除した額を、2分の1を人口で、他の2分の1を従業者数であん分して譲与する。
(2) 前年度の地方交付税の算定における財源超過団体に対しては、今回の改正による減収額として算定した額が財源超過額の2分の1を超える場合、減収額として算定した額の2分の1を限度として、当該超える額を(1)による譲与額に加算する。
二 経済活性化・競争力の強化
<研究開発税制・情報基盤強化税制>
(国 税)
1 研究開発税制について、試験研究費の増加分に対する税額控除率の上乗せ措置を改組し、次の措置のいずれかを選択適用できる制度を創設する。この制度における控除税額の上限は、試験研究費の総額に係る税額控除制度又は中小企業技術基盤強化税制とは別に、当期の法人税額の10%相当額を限度とする。
(1) 平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度において、試験研究費の額が比較試験研究費の額を超え、かつ、基準試験研究費の額を超える場合には、試験研究費の額が比較試験研究費の額を超える部分の金額の5%相当額を税額控除できることとする。
(2) 平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度において、試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合には、その超える部分の金額に税額控除率を乗じた金額を税額控除できることとする。
(注)税額控除率は、次のとおりとする。
(試験研究費割合-10%)×0.2
2 情報基盤強化税制について、次の見直しを行ったうえ、その適用期限を2年延長する。
(1) 対象設俺等に、部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフトウエアとして一定の要件を満たすものを追加する。
(2) 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人等について、取得価額の合計額の最低限度を70万円(現行300万円)に引き下げる。
(3) 資本金の額又は出資金の額が10億円超の法人の取得する対象設備等の取得価額の合計額のうち本税制の対象となる金額は、200億円を限度とする。
(地方税)
1 中小企業者等の試験研究費の増加分に係る法人住民税の特例措置について、課税標準となる法人税額から控除する額を、次のいずれかの額を選択適用できる措置を講ずる。
この場合の法人税額から控除する額の上限は、試験研究費の総額に係る税額控除とは別に、当期の法人税額の10%相当額を限度とする。
(1) 平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度において、試験研究費の額が比較試験研究費の額を超え、かつ、基準試験研究費の額を超える場
合には、試験研究費の額が比較試験研究費の額を超える部分の金額の5%相当額を税額控除できることとする。
(2) 平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度において、試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合には、その超える部分の金額に税額控除割合を乗じた金額を税額控除できることとする。
(注)税額控除率は、次のとおりとする。
(試験研究費割合-10%)×0.2
<中小企業・ベンチャー支援>
(国 税)
1 特定中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例の創設
(1) 個人が、その年中に特定中小会社であって次の要件を満たす株式会社に出資した金額について、1,000万円を限度として、寄附金控除を適用する。
① 設立1年目の株式会社…中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に規定する特定新規中小企業者
② 設立2年目又は3年目の株式会社…特定新規中小企業者であって前事業年度及び前々事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローが赤字であるもの
(2) 特定中小会社に出資した金額のうち、本特例の適用を受けて総所得金額等から控除した金額は、取得した特定中小会社の株式の取得価額から控除する。
(3) その他所要の整備を行う。
(4) 特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得等の2分の1課税の特例については、所要の経過措置を講じたうえ、廃止する。
2 情報基盤強化税制について、次の見直しを行ったうえ、その適用期限を2年延長する。(再掲)
(1) 対象設備等に、部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフトウエアとしてー定の要件を満たすものを追加する。
(2) 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人等について、取得価額の合計額の最低限度を70万円(現行300万円)に引き下げる。
3 教育訓練費の増加額に係る税額控除制度における中小企業者等に係る措置について、労働費用に占める教育訓練費の割合が中小企業者等のほぼ平均である0.15%以上の場合に、教育訓練費の総額に、労働費用に占める教育訓練費の割合に応じた税額控除率(8%~12%)を乗じた金額を税額控除できる制度に改組したうえ、本措置を中小企業等基盤強化税制の中に位置付ける。
(注)税額控除率は、次のとおりとする。
教育訓練費
8%+(――――――― - 0.15%)×40
労働費用
4 中小企業投資促進税制の適用期限を2年延長する。
5 交際費等の損金不算入制度について、中小企業者に係る400万円の定額控除の適用期限を2年延長する。
6 欠損金の繰戻しによる還付の不適用制度について、中小企業者の設立後5年間に生じた欠損金額に係る適用除外措置の適用期限を2年延長する。
7 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限を2年延長する。
(地方税)
1 中小企業者等の教育訓練費に係る法人住民税の特例措置について、労働費用に占める教育訓練費の割合が中小企業者等のほぼ平均である0.15%以上の場合に、課税標準となる法人税額から控除する額を、教育訓練費の総額に、労働費用に占める教育訓練費の割合に応じた税額控除割合(8%~12%)を乗じた金額にできる制度に改組したうえ、本措置を中小企業等基盤強化税制の中に位置付ける。
(注)税額控除率は、次のとおりとする。
教育訓練費
8%+(――――――― - 0.15%)×40
労働費用
2 特定中小会社が発行した株式に係る課税の特例について、当該株式に係る譲渡所得等の2分の1課税の特例は、所要の経過措置を講じたうえ、廃止する。
<事業承継税制>
1 事業承継税制の抜本見直しについては、中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)の制定を踏まえ、平成21年度税制改正において、以下を骨子とする事業の後継者を対象とした「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」を創設する。
本制度は中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)施行日以後の相続等に遡って適用する。
この新しい事業承継税制の制度化にあわせて、相続税の課税方式をいわゆる遺産取得課税方式に改めることを検討する。
その際、格差の固定化の防止、老後扶養の社会化への対処等相続税を巡る今日的課題を踏まえ、相続税の総合的見直しを検討する。
(1) 事業承継相続人が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等によりその会社の株式等を取得しその会社を経営していく場合には、その事業承継相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(相続等の結果。その会社の発行済議決権株式の総数等の3分の2に達するまでの部分)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予する。
(注1)「事業承継相続人」とは、中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)における経済産業大臣の認定を受けた一定の中小企業の発行済株式等について、同族関係者と合わせその過半数を保有し、かつ、その同族関係者の中で筆頭株主である後継者をいう。
(注2)会社を経営していた被相続人は、その会社の発行済株式等について、同族関係者と合わせその過半数を保有し、かつ、その同族関係者(事業承継相続人を除く。)の中で筆頭株主であったことを要する。
(2) 納税猶予の対象となる株式等のみを相続するとした場合の相続税額から、その株等の金額の20%に相当する金額の株式等を相続するとした場合の相続税額を控除額を猶予税額とする。
(3) その事業承継相続人が納税猶予の対象となった株式等を死亡の時まで保有し続けた場合など一定の場合には、猶予税額を免除する。
(4) その事業承継相続人が、相続税の法定申告期限から5年の間に、代表者でなくなる等、事業を継続していないと認められる場合には、その時点で、猶予税額の全額を納付する。
(5) 上記(4)の期間経過後において、納税猶予の対象となった株式等を譲渡等した場合には、その時点で、納税猶予の対象となった株式の総数等に対する譲渡株式の総数等の割合に応じた猶予税額を納付する。
(6) 上記(4)又は(5)により、猶予税額の全額又は一部を納付する場合には、その納付税額について相続税の法定申告期限からの利子税も併せて納付する。
(7) この特例の適用を受けるためには、原則として、納税猶予の対象となった株式等のすべてを担保に供しなければならない。
(8) 個人資産の管理等を行う法人の利用等による租税回避行為を防止する措置を講ずる。
(9) 中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)の施行日以後に開始した相続等から適用を可能とする措置その他所要の措置を講ずる。
(10)現行の特定同族会社株式等に係る相続税の課税価格の計算の特例は、所要の経過措置を講じたうえで廃止する。
2 取引相場のない株式の評価に係る純資産価額方式における営業権の評価について、企業者報酬の額及び総資産価額に乗じる利率の見直しを行う。
<減価償却制度>
1 減価償却制度について、次の見直しを行う。
(1) 法定耐用年数について、機械及び装置を中心に、実態に即した使用年数を基に資産区分の大括り化を行う(付記一参照)。なお、この改正は、既存の減価償却資産を含め、平成20年4月1日以後開始する事業年度について適用する。
(2) 耐用年数の短縮特例について、納税者の事務負担に配慮し、本特例の適用を受けた減価償却資産について軽微な変更があった場合、本特例の適用を受けた減価償却資産と同一の他の減価償却資産の取得をした場合等には、改めて承認申請をすることなく、変更点等の届出により短縮特例の適用を受けることができることとする。
三「ふるさと納税」
<個人住民税の寄附金税制、「ふるさと納税」>
1 個人住民税における寄附金税制について、次の措置を講ずる。
(1) 控除対象寄附金の拡大等
① 寄附金控除の適用対象に、所得税の寄附金控除の適用対象となる寄附金(国に対する寄附金及び政党等に対する政治活動に関する寄附金を除く。)のうち地域における住民の福祉の増進に寄与するものとして都道府県又は市区町村が条例により指定したものを追加する。
② 現行の所得控除方式を税額控除方式に改め、適用対象寄附金に係る控除率は道府県民税について4%、市町村民税について6%とする。この場合において、都道府県が条例により指定した寄附金については道府県民税から、市区町村が条例により指定した寄附金については市町村民税からそれぞれ控除する。
③ 寄附金控除の控除対象限度額を総所得金額等の30%(現行25%)に引き上げる。
④ 寄附金控除の適用下限額を5千円(現行10万円)に引き下げる。
(2) 地方公共団体に対する寄附金税制の見直し(「ふるさと納税」)
都道府県又は市区町村に対する寄附金については、上記(1)の税額控除の適用に加え、当該寄附金が5千円を超える場合、その超える金額に、90%から寄附を行った者に適用される所得税の限界税率を控除した率を乗じて得た金額(個人住民税所得割の額の10分の1に相当する金額を限度とする)の5分の2を道府県民税から、5分の3を市町村民税からそれぞれ税額控除する。
また、申告手続については、納税者の利便を図るため、簡易な方法により行うことができるよう所要の措置を講ずる。
(注)上記(1)及び(2)の改正は、平成21年度分以後の個人住民税について適用する。
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四 環境問題、安心・安全への配慮
(国 税)
1 住宅の省エネ改修促進税制の創設
(1) 住宅の省エネ改修工事等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の創設
① 居住者が、その者の居住の用に供する家屋について一定の省エネ改修工事を含む増改築等(以下「省エネ改修工事等」という。)を行った場合に
おいて、当該家屋を平成20年4月1日から平成20年12月31日までの間にその者の居住の用に供したときは、一定の要件の下で、その省エネ改修工事等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高の 1,000万円以下の部分の一定割合を所得税の額から控除する。この特例は、下記(2) の所得税額の特別控除との選択適用とし、控除期間は5年、控除率については、次のとおりとする。
イ 特定の省エネ改修工事に係る工事費用( 200万円を限度)に相当する住宅借入金等の年末残高‥・2%
ロ イ以外の住宅借入金等の年末残高‥・1%
(注1)上記の「一定の省エネ改修工事」とは、①居室の全ての窓の改修工事、又は①の工事と併せて行う②床の断熱工事、③天井の断熱工事若しくは④壁の断熱工事で、次の要件を満たすものをいう。
イ 改修部位の省エネ性能がいずれも平成11年基準以上となること
ロ 改修後の住宅全体の省エネ性能が改修前から一段階相当以上上がると認められる工事内容であること
ハ その工事費用の合計額が30万円を超えるものであること
(注2)上記の「特定の省エネ改修工事」とは、(注1)に定める工事のうち、改修後の住宅全体の省エネ性能が平成11年基準相当となると認められる工事内容のものをいう。
(注3)上記の「一定の要件」について、以下のとおりとする。
イ 住宅借入金等について、償還期間5年以上の一定の住宅借入金等を適用対象とする。
ロ 本税制の適用については、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録住宅性能評価機関、建築基準法に基づく指定確認検査機関又は建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士が発行する省エネ改修工事等の証明
書を要するものとする。
ハ その他現行の住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税の特別控除と同様の要件とする。
② 二以上の居住年に係る住宅の取得等に係る住宅借入金等の金額を有する場合の控除額の計算の調整措置その他所要の措置を講ずる。
(2) 住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、現行制度において適用対象となっている大規模の修繕又は模様替等に加え、大規模の修繕又は模様替等に至らない一定の省エネ改修工事を適用対象に追加する。
(注1)上記の「一定の省エネ改修工事」とは、①居室の全ての窓の改修工事、又は①の工事と併せて行う②床の断熱工事、③天井の断熱工事若しくは④壁の断熱工事で、次の要件を満たすものをいう。
イ 改修部位の省エネ性能がいずれも平成l1年基準以上となること
ロ 改修後の住宅全体の省エネ性能が改修前から一段階相当以上上がると認められる工事内容であること
(注2)本税制の適用については、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録住宅性能評価機関、建築基準法に基づく指定確認検査機関又は建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士が発行する省エネ改修工事等の証明書を要するものとする。
(注3)上記の改正は、増改築等をした居住用家屋を平成20年4月1日から平成20年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合について適用する。
(地方税)
1 長期耐用住宅等の整備の促進に関する法律(仮称)の制定に伴い、次のとおり特例措置を講ずる。
(1) 固定資産税については、同法の施行の日から平成22年3月31日までの間に新築された長期耐用住宅(仮称)について、認定を受けて建てられたことを証する書類を添付して市町村に申告がされた場合には、新築から5年度分(中高層耐火建築物にあっては7年度分)に限り、当該住宅に係る税額(1戸当たり120㎡ 相当分までに限る。)
の2分の1を減額する。
(2) 不動産取得税については、開法の施行の日から平成22年3月31日までの間に取得された新築の長期耐用住宅(仮称)について、認定を受けて建てられたことを証する書類を添付して都道府県に申告がされた場合には、当該住宅の課税標準から1,300万円を控除する。
(注1)上記の措置は、新築住宅に係る現行の特例措置に代えて適用する。
(注2)床面積等の要件は、新築住宅に係る現行の特例措置と同様のものとする。
2 省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税について、次のとおり税額を減額する措置を講ずる。
(1) 平成20年1月1日に存していた住宅で、平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間に一定の省エネ改修工事を行ったもの(賃貸住宅を除く。)について、改修工事が完了した年の翌年度分に限り、当該住宅に係る固定資産税の税額(1戸当たり 120㎡ 相当分までに限る。)の3分の1を減額する。
(2) 減額を受けようとする納税義務者は、改修後のそれぞれの部位が省エネ基準に適合することとなったことにつき、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録住宅性能評価機関、建築基準法に基づく指定確認検査機関又は建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士が発行した証明書を添付して、改修後3月以内に市町村に中告しなければならないこととする。
(注)上記の「一定の省エネ改修工事」とは、①窓の改修工事、又は①の工事と併せて行う②床の断熱工事、③天井の断熱工事若しくは④壁の断熱工事で、それぞれの工事によりそれぞれの部位が現行の省エネ基準に新たに適合することとなるものであって、その工事費用の合計額が30万円以上のものとする。
五 金融・証券税制
1 上場株式等の譲渡所得等に対する課税
(1) 上場株式等に係る譲渡所得等の10%軽減税率の廃止
上場株式等の譲渡所得等に係る税率については、平成20年12月31日をもって10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)を廃止し、平成21年1月1日以後は20%(所得税15%、住民税5%)とする。
(2) 特例措置
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間(2年間)、その年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額のうち 500万円以下の部分については、10%(所得税7%、住民税3%)の軽減税率とする。
(3) 源泉徴収口座における源泉徴収税率の特例
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間(2年間)の源泉徴収ロ座における源泉徴収税率(特別徴収税率)は10%(所得税7%、住民税3%)の軽減税率とする。
この場合において、源泉徴収ロ座の上場株式等に係る譲渡所得等の金額と源泉徴収ロ座以外の上場株式等に係る譲渡所得等の金額の合計額が 500万円を超える者については、源泉徴収ロ座の譲渡所得等に係る申告不要の特例は適用しない。
2 上場株式等の配当所得に対する課税
(1) 上場株式等に係る配当等の10%軽減税率の廃止
居住者等が支払を受けるべき上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率(特別徴収税率)については、平成20年12月31日をもって10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)を廃止し、平成21年1月1日以後は20%(所得税15%、住民税5%)とする。
(2) 源泉徴収税率の特例措置
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間(2年間)に居住者等が支払を受けるべき上場株式等の配当等(大口株主が支払を受けるものを除く。以下同じ。)に対する源泉徴収税率(特別徴収税率)は10%(所得税7%、住民税3%)の軽減税率とする。この場合において、その年中の7%源泉徴収(3%特別徴収)の対象となった上場株式等の配当等(年間の支払金額が1万円以下の銘柄に係るものを除く。)の金額の合計額が100万円を超える者については、その者がその年中に受け取った7%源泉徴収(3%特別徴収)された当該上場株式等の配当等について、申告不要の特例は適用しない。
(3) 上場株式等の配当所得の申告分離選択課税の創設
平成21年1月1日以後に居住者等が支払を受けるべき上場株式等の配当所得については、当該居住者等は20%(所得税15%、住民税5%)の税率による申告分離課税を選択できることとする。なお、総合課税を選択することにより、配当控除等の適用も受けることができることとする。この場合において、申告する上場株式等の配当所得の金額の合計額について、総合課税と申告分離課税のいずれかの選択適用とする。
(4) 申告分離選択課税の税率の特例措置
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間(2年間)、その年分に申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得の金額のうち 100万円以下の部分については、10%(所得税7%、住民税3%)の軽減税率を適用する。
(5) 源泉徴収ロ座への上場株式等の配当等の受入れ
居住者等が証券会社等の営業所を通じて上場株式等の配当等の支払を受ける場合において、当該居住者等が当該証券会社等の営業所に源泉徴収ロ座を開設しているときは、当該配当等を当該源泉徴収ロ座に受け入れることができることとする。
(注)上記の改正は、証券会社等における特定ロ座のシステム開発等の準備が整った段階(平成22年1月を目途)から適用する。
3 損益通算の特例
(1) 上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当所得との間の損益通算の特例の創設その年分の上場株式等の譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるとき又はその年の前年以前3年内の各年に生じた上場株式等の譲渡損失の金額(前年以前に既に控除したものを除く。)があるときは、これらの損失の金額を上場株式等の配当所得の金額(申告分離課税を選択したものに限る。)から控除するものとする。
(注)上記の改正は、平成21年分以後の所得税及び平成22年度分以後の住民税について適用する。
(2) 源泉徴収ロ座内の上場株式等の配当等に対する源泉徴収税額の計算の特例の創設(源泉徴収ロ座内における損益通算)
源泉徴収ロ座に受け入れた上場株式等の配当等に対する源泉徴収税額を計算する場合において、当該源泉徴収ロ座内における上場株式等の譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、当該配当等の額から当該譲渡損失の金額を控除した金額に対して源泉徴収税率(特別徴収税率)を乗じて徴収すべき所得税(住民税)の額を計算することとする。
この場合において、当該上場株式等の譲渡損失の金額につき、申告により、他の株式等に係る譲渡所得等の金額又は上場株式等に係る配当所得の金額から控除するときは、本特例の適用を受けた上場株式等の配当等については、申告不要の特例は適用しない。
(注)上記の改正は、証券会社等における特定ロ座のシステム開発等の準備が整った段階(平成22年1月を目途)から適用する。
4 資料情報制度等の整備
(1) 源泉徴収口座に係る特定ロ座年間取引報告書について、次の措置を講ずる。
① 源泉徴収ロ座に係る特定ロ座年間取引報告書の税務署への提出を不要とする措置を廃止する。
② 特定ロ座年間取引報告書の記載事項に、源泉徴収ロ座に受け入れた配当等の額等を追加する。
(注)上記①の改正は、平成21年1月1日以後に源泉徴収ロ座において処理される上場株式等の譲渡に係る報告書について適用する。
上記②の改正は、源泉徴収ロ座における上場株式等の譲渡所得と配当所得の損益通算(上記3(2) )の開始と同時に適用する。
(2) 10%(所得税7%、住民税3%)の軽減税率を適用する上場株式等の配当等については、配当等の支払調書を税務署へ提出しなければならないこととする。
(3) 上場株式等の配当等の支払者又は支払事務取扱者は、当該配当等の支払を受ける者に対して、その支払う配当等の額等を記載した支払報告書を交付しなければならないこととする。ただし、源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の配当等については、当該報告書の支払を受ける者への交付は要しないこととする。
また、上場株式等に係る配当所得の金額を申告する場合には、当該支払報告書又は源泉徴収ロ座の特定ロ座年間取引報告書を確定申告書に添付しなければならないこととする。
(注)上記(2)及び(3)の改正は、平成21年1月1日以後に支払う配当等について適用する。
5 源泉徴収義務の整備等
(1) 源泉徴収ロ座において損益通算が行われることに伴い、上場株式等の配当等に対する源泉徴収について、以下の措置を講ずる。
① 証券会社を通じて支払をする上場株式等の配当等について、当該配当等の支払事務取扱者である証券会社を源泉徴収義務者(特別徴収義務者)とする。
② 公募株式投資信託の収益の分配に係る配当等について、当該配当等の支払事務取扱者(証券会社、銀行等)を源泉徴収義務者(特別徴収義務者)とする。
③ 源泉徴収ロ座に受け入れた上場株式等の配当等について源泉徴収した所得税又は特別徴収した住民税の納付期限を、その徴収の日の属する年の翌年1月10日とする。
(注)上記の改正は、平成22年1月1日以後に支払う上場株式等の配当等について適用する。
6 一定の贈与、相続又は遺贈により取得した特定ロ座内保管上場株式等であった上場株式等を、次に掲げる方法により受贈者、相続人又は受選者の特定ロ座へ移管できることとする。
(1) 贈与により取得した上場株式等を当該受贈者の特定ロ座へ移管する際に、その受贈者が取得した上場株式等のうち同一銘柄の上場株式等をすべて当該受贈者の特定ロ座に移管する方法(当該受贈者の特定口座に既にその取得した上場株式等と同一銘柄の上場株式等を有していない場合に限る。)
(2) 相続又は遺贈により取得した上場株式等を当該相続人又は受選者の特定口座へ移管する際に、その相続人又は受選者が取得した上場株式等のうち同一銘柄の上場株式等をすべて当該相続人又は受選者の特定口座に移管する方法
7 特定上場株式等に係る譲渡所得等の非課税制度は、適用期限の到来をもって廃止する。
六 円滑・適正な納税のための環境整備
1 税務手続の電子化促進措置
(1) 電子納税の新たな納付手段の創設
国税の納付手続について、あらかじめ税務署長に一定の事項を届け出た場合には、インターネットバンキングを経由しない電子情報処理組織による納付手続を行うことができることとする。
(注)上記の改正は、平成21年9月1日以後に行う電子情報処理組織による納付手続について適用する。
(2) 電子申告における第三者作成書類の添付省略の対象書類の追加
所得税の確定申告書の提出を電子情報処理組織を使用して行う場合において、一定の要件の下、税務署への提出又は提示を省略することができる第三者作成書類の範囲に、次の書類を追加する。
① 給与所得者の特定支出の控除の特例に係る支出の証明書
② 雑損、寄附金、勤労学生控除の証明書等
③ 個人の外国税額控除に係る証明書
④ 住宅借入金等特別控除に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)
⑤ バリアフリー改修特別控除に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)
⑥ 政党等寄附金特別控除の証明書
(注)上記の改正は、原則として、平成20年1月4日以後に、平成19年分以後の所得税の確定申告書の提出を電子情報処理組織を使用して行う場合について適用する。
(3) 納税証明書の電子中請による書面交付
国税の納税証明書の書面による交付について、電子情報処理組織を使用して交付を請求した場合には、一定の方法により送付に要する費用を納付して、当該証明書の送付を求めることができることとする。
(注)上記の改正は、平成20年1月4日以後に行う請求について適用する。
2 国税に関する不服申立て手続について、行政不服審査法の見直しに伴い、次に掲げる所要の規定の整備を行う。
(1)「異議申立て」を「再調査請求(仮称)」に名称変更する。
(2) 不服申立期間を処分があったことを知った日から3月以内(現行2月以内)に延長する。
(3) 再調査請求(仮称)についての決定を経ずに審査請求をすることができる期間を2月(現行3月)に短縮する。
(4) 審査請求人の処分庁に対する質問、争点及び証拠の整理等の手続規定の整備を行う。
(5) その他所要の整備を行う。
(地方税)
1 次のとおり、個人住民税に公的年金からの特別徴収制度を導入する。
(1) 特別徴収の対象者
特別徴収の対象者は、個人住民税の納税義務者のうち、前年中に公的年金等の支払を受けた者であって、当該年度の初日において国民年金渋に基づく老齢基礎年金等(以下「老齢等年金給付」という。)の支払を受けている65歳以上のもの(以下「年金所得者」という。)とする。
ただし、次の場合等においては、特別徴収の対象としない。
① 老齢等年金給付の年額が18万円未満である場合
② 当該年度の特別徴収税額が老齢等年金給付の年額を超える場合
(2) 特別徴収の対象税額
特別徴収の対象税額は、公的年金等に係る所得に係る所得割額及び均等割額(以下「公的年金等に係る個人住民税額」という。)とする。
(3) 特別徴収の対象年金
特別徴収の対象年金は、老齢等年金給付とする。
(4) 特別徴収義務者
特別徴収義務者は、老齢等年金給付の支払をする者(以下「年金保険者」という。)とし、年金保険者は老勲等年金給付の支払をする際に徴収した税額をその徴収した月の翌月の10日までに市町村に納入する義務を負う。
(5) 特別徴収に係る通知
年金保険者及び市町村は、特別徴収を行うに当たって、老齢等年金給付の年額、特別徴収税額等の情報について、経由機関を通じて通知する。
(6) 徴収の方法
① 特別徴収の対象である年金所得者については、当該年度の4月から9月までの間の老齢等年金給付の支払の際にそれぞれ前年度の2月において特別徴収の方法により徴収された額に相当する額を、10月から翌年3月までの間の老齢等年金給付の支払の際にそれぞれ公的年金等に係る個人住民税額から既に徴収した額を控除した額の3分の1に相当する額を、老齢等年金給付から特別徴収の方法により徴収する。
② 新たに特別徴収の対象となった年金所得者については、当該年度の4月から9月までの間は公的年金等に係る個人住民税額の2分の1に相当する額を普通徴収の方法により徴収し、10月から翌年3月までの間の老齢等年金給付の支払の際にそれぞれ公的年金等に係る個人住民税額から既に徴収した額を控除した額の3分の1に相当する額を老齢等年金給付から特別徴収の方法により徴収する。
(7) その他
その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成21年度から適用する(なお、特別徴収は、平成21年10月以後支払われる老齢等年金給付について実施する。)。
2 行政不服審査法の見直しに伴い、所要の整備を行う。
七 土地・住宅税制
(国 税)
1 土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、平成21年4月1日以後に受ける所有権の移転登記等に係る軽減税率を次のとおり引き上げたうえ、その適用期限を3年延長する。
(1) 土地の売買による所有権の移転登記 1,000分の13(平成22年4月1日以後に受けるもの 1,000分の15)(現行 1,000分の10)
(2) 土地の所有権の信託の登記 1,000分の 2.5(平成22年4月1日以後に受けるもの 1,000分の3)(現行 1,000分の2)
2 特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、平成21年4月1日以後に特定不動産を取得した場合等の不動産の所有権の移転登記に係る軽減税率を 1,000分の9(現行 1,000分の8)に引き上げたうえ、その適用期限を2年延長する。
3 住宅の省エネ改修促進税制の創設(再掲)
4 給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例の適用期限を2年延長する。
5 優良賃貸住宅の割増償却制度における中心市街地優良賃貸住宅に係る措置の適用期限を2年延長する。
6 住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例の適用期限を2年延長する。
7 長期耐用住宅に係る登録免許税の軽減措置の創設(再掲)
(地方税)
1 長期耐用住宅に係る固定資産税及び不動産取得税の特例措置の創設(再掲)
2 省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置の創設(再掲)
3 新築住宅に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年延長する。
4 高齢者向け優良賃貸住宅に係る固定資産説の減額措置の適用期限を2年延長する。
5 給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例の適用期限を2年延長する。
6 新築住宅特例適用住宅用土地に係る不動産取得税の減額措置(床面積の2倍( 200平方メートルを限度)相当額の減額)について、土地取得後の住宅新築までの経過年数要件を緩和する特例措置の適用期限を2年延長する。
※詳しくは、笠原会計事務所まで、お気軽にお問い合わせください。
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