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令和2年度税制改正では、持続的な経済成長の観点から、一定のベンチャー企業育成によるイノベーションの推進、5G(次世代移動通信システム)への設備投資、経済のデジタル化への対応などを後押しする改正が行われます。
※本税制には、大企業を対象に、1億円以上の出資に対して、その25%以下の金額を損金算入できる措置もあります。
2. 電子帳簿保存法の改正(国税関係書類の保存方法の見直し)
●電子保存の方法
3. 消費税の申告期限の延長(1か月)≪消費税≫ 消費税の確定申告書の提出期限は、事業年度終了日から2か月以内ですが、法人税申告書の提出期限について延長の特例の適用を受ける法人は、届出によりその提出期限を1か月延長する特例が創設されます。 これにより、法人税確定申告書の提出期限を延長している法人は確定した決算に基づいて消費税確定申告書を提出できるようになります。延長された期間には、利子税が発生します。
4. 連結納税制度の改正(グループ通算制度の導入)≪法人税≫ 連結納税制度は、企業グループを一体とみて親会社と100%子会社(完全子会社)の所得通算等を行う制度です。企業グループ内の黒字と赤字を通算することにより、企業グループ全体としての税負担を軽減できるなどのメリットがあります。 現行制度では、親会社が子会社から申告のための情報を集約し、企業グループ全体の申告・納税を行うため、子会社1社において税務調査等により修正申告などが発生した場合、企業グループ全体で修正申告を行う必要があり、事務負担が大きいなどの弊害がありました。 改正によって、事務負担の軽減等の観点からグループにおいて損益通算を可能とする基本的な枠組みを維持しつつ、親会社、完全子会社のそれぞれが申告・納税を行うなどの「グループ通算制度」へ移行されます。
5. 5G投資促進税制の創設 ≪法人税・所得税≫ 次世代の移動通信規格である5Gの情報通信インフラを早期にかつ集中的に整備するため、経済産業大臣の認定に基づき、5G設備に係る投資について、30%の特別償却又は15%の税額控除との選択適用ができる制度(法人税額の20%が上限)が創設されます。 ※この制度は「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の制定が前提です。 ●対象設備の例
●制度の概要
6. 企業版ふるさと納税の拡充(税額控除割合の引き上げ)≪法人税・地方税≫
個人関係では、家計の安定的な資産形成を支援するため、NISA制度の見直し等が行われました。また、土地関係として、低未利用地の利活用を促進する特別控除や、所有者が不明な土地等に対する固定資産税の課税上の課題に対応する措置が講じられます。 1. NISA制度の見直し・延長 ≪所得税≫
●改正内容
2. 未婚のひとり親への寡婦(夫)控除の適用 ≪所得税・住民税≫ (1)未婚のひとり親への寡婦(夫)控除の適用
(2)寡婦(夫)控除の見直し 寡婦(夫)控除について、以下の見直しが行われます。 ●寡婦に寡夫と同様の所得制限(合計所得金額500万円〈年収678万円〉以下)が設けられます。 ●住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある場合には、控除の対象外になります。 ●子あり寡夫の控除額が、子あり寡婦の控除額(所得税35万円、住民税30万円)と同額になります。 ※「生計を一にする子」は、総所得金額等の合計額が48万円以下であること
3. 所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応 ≪固定資産税≫ 土地や家屋の登記名義人が死亡し、その相続登記がなされず、その土地や家屋の所有者が明らかでない所有者不明土地等の全国的な増加に伴い、それらの土地等に対する固定資産税の正常な課税に対応するため、次の措置が講じられます。 (1)現に所有している者の氏名・住所等を申告させる制度の創設 登記簿上の所有者が死亡し、相続登記が行われるまでの間は、市町村が条例によって、現に所有している者(相続人等)に対し、氏名・住所、その他固定資産税の賦課徴収に必要な事項を申告させる制度が創設されます。また、無申告には罰則が設けられます。
(2)使用者を所有者とみなして課税する制度の拡大
4. 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除の創設≪所得税≫ 例えば、空き地、空き家、空き店舗、工場跡地のほか耕作放棄地、管理が放棄された森林や、一時的に利用されている資材置場や青空駐車場など取引価額が低額なために取引コスト等が相対的に高くなることがネックとなって取引が進まず、利活用されないまま所有されている土地があります。こうした低未利用地の活用促進のため、一定のものに係る譲渡所得を対象に100万円の特別控除が創設されます。
5. 配偶者居住権又は配偶者敷地利用権についての措置 ≪相続税≫ 民法改正により、配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、配偶者が、遺産分割等においてその建物に終身又は一定期間、無償で居住することを認める法定の権利を取得することができる「配偶者居住権」が新設され、令和2年4月1日から施行されます。 平成31年度の税制改正では、その被相続人の相続における配偶者居住権の財産評価方法が明らかにされましたが、令和2年度の税制改正では、相続後にその配偶者居住権が譲渡等された場合の譲渡所得の計算方法が定められます。 6. その他 (1)振替納税の通知依頼とダイレクト納付の利用届出の電子化 ≪所得税≫ 納税者が、所得税について振替納税の手続きをとる際は、口座振替依頼書に住所、氏名、金融機関名、預貯金口座名などを記入し、預貯金通帳に使用している印鑑を押して、税務署か金融機関に提出する必要がありますが、その手続きが電子署名等を要することなく「e-Tax」を利用して電子的にできるようになります。ダイレクト納付の利用届出についても同様の改正が行われます。
(2)居住用賃貸建物の取得時における仕入税額控除の制限 ≪消費税≫ 居住用賃貸建物の課税仕入れは、仕入税額控除が認められなくなります。ただし、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分は、引き続き、仕入税額控除の対象となります。
(3)譲渡特例を適用した場合に住宅ローン控除の適用を制限 ≪所得税≫ 住宅ローン控除の適用について「居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(3,000万円の特別控除など。以下、譲渡特例)などの適用を受けていないこと」という一つの要件があります。 そのため、買換えなどによって新宅に居住して住宅ローン控除を適用し、2年を経過してから旧宅を売却することにより、譲渡特例を適用することが可能でした。 令和2年4月1日以後、新宅に居住した日の属する年から3年目までに、旧宅の譲渡について譲渡特例を適用する場合には、新宅について住宅ローン控除の適用ができなくなります。
(4)国外財産調書制度等の見直し ≪法定調書関係≫ 適正な課税の観点から、国外において行われた取引等について、納税者による適切な情報開示を促すため、国外財産調書制度及び更正・決定の除斥期間について見直しが行われます。 ❶相続国外財産に係る相続直後の国外財産調書等へ記載の柔軟化 相続を開始した年の12月31日において有する国外財産に係る国外財産調書には、相続又は遺贈により取得した国外財産(相続国外財産)を記載せずに、提出することが可能になります。
❷その他の見直し
(5)国外中古建物の不動産所得に係る損益通算時の特例の創設 ≪所得税≫ 国外中古建物による不動産所得について、不動産所得の計算上、損失の金額があるとき、耐用年数を簡便法等により計算した国外中古建物の減価償却費に相当する金額は生じなかったものとみなされることになります。
※詳しくは、笠原会計事務所まで、お気軽にお問い合わせください。 |
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