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様々な相続人がいる

■行方不明の相続人がいる場合

 行方不明になって、生死が7年間わからないときは、家庭裁判所に申立てを行い、失踪の宣言の審判をしてもらうことができます。これにより、行方不明者は法的に死亡したとみなされます。また、船舶の沈没、戦争、その他災害に遭遇し、その危難が去った後、1年間生死が分からないときにも、失踪宣言の審判を受けることができます。
 しかし審判までの期間は遺産分割協議を行うことができないため、相続税の特例適用の有無等に影響を及ぼすことになります。
 このときは、家庭裁判所に相続人ら利害関係者が不在者財産管理人の選任の申立てを行うことができます。不在者財産管理人は、不在者の財産を管理・保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得たうえで、行方不明者の代理人として、遺産分割協議に加わることや不動産の売却等を行うことも可能です。

■相続人に未成年者がいる場合
 未成年者は単独で遺産分割協議の参加や相続の放棄などの法律行為ができません。相続人のなかに未成年者がいる場合、遺産分割協議には法定代理人である親権者が参加するか、あるいは法定代理人の同意が必要となります。
 しかし、未成年者と親権者がともに共同相続人である場合には、親権者は未成年者の代理人として遺産分割協議をすることはできないとされています。これは、未成年者と親権者の利害がぶつかるからです(利益相反)。このような場合には、家庭裁判所に申立て、未成年者の特別代理人を選任してもらいます。もし、相続人の中に複数の未成年者がいる場合には、それぞれの未成年者に異なる特別代理人を選任することになります。未成年者は選任された特別代理人に自分の意志を伝え、遺産分割協議をしてもらいます。

■相続人に海外居住者がいる場合
 日本で遺産分割をする際には実印を押印し、印鑑証明書を添付することにより本人の意思を確認します。
 しかし、本人や家族の仕事等の関係で海外に住んでいる場合、日本に住所地を持たない日本人は、市区町村役場から印鑑証明書を発行してもらうことができません。
 そのため、海外に在留している日本人は印鑑証明書の代わりに、現地の在外公館(大使館・領事館)において、署名(サイン)証明書または拇印証明書等を発行してもらいます。そして、遺産分割協議書の実印の代わりに、署名または拇印を使用し、その証明書を添付します。

■認知症の相続人がいる場合
 認知症のように、記憶や判断力に障害のある相続人がいる場合は、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立て、成年後見人を選任してもらうことが可能です。申し立ては、本人、配偶者、4親等内の親族などから行います。選任された成年後見人は、その相続人に代わり遺産分割協議に加わることになります。
 また判断能力の度合により保佐、補助の制度を利用することもできます。
 ただし、後見人が包括的な代理権を有するのに比べ、保佐人や補助人は原則的に代理権を有しません(家庭の審判により特定の行為についてのみ代理権を付与してもらうことは可能です)。









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