経営セーフティ共済制度のメリット |
(1) 税制上のメリット |
経営セーフティ共済掛金の月額は、5,000円から20万円までの範囲(5,000円単位)で自由に掛金を設定することができます。
払い込んだ掛金は法人の場合は損金に、個人の場合は必要経費に算入することができ、法人税又は所得税を少なくすることができます。
また、経営セーフティ共済の掛金は前納する手続きをすれば、将来払い込む掛金をまとめて一括で払い込むこともでき、前納した経営セーフティ共済掛金は法人の場合は損金に、個人事業の場合は必要経費に算入することができ、決算対策としても利用できるメリットがあります。さらに、前納減額金が発生し、若干ですが掛金が安くなり、お得です。
ただし、個人事業の場合、事業所得以外の所得区分(不動産所得等)では、経営セーフティ共済掛金は必要経費としての算入が認められていないため、留意する必要があります。 |
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(2) 共済金貸付け |
経営セーフティ共済に加入していると、取引先が倒産したことにより、売掛金債権など(売掛金債権と前渡金返還請求権の額)の回収が困難となった場合に、無担保、無保証人で、かつ無利子で、共済金貸付けを請求することにより受けることができます(ただし、返済期日までに共済金の返済がないときは、年14.6%の違約金が課せられます)。
共済金貸付けを受けることができる額は、取引先の倒産により回収困難となった売掛金債権などと、掛金総額の10倍に相当する額のいずれか少ない額の範囲内となっています。貸付額は原則として、50万円から8,000万円の範囲内で、5万円単位の額となります。
なお、取引期間が1年以上ある主要取引先(売上高の20%以上を占める取引先)が倒産した場合には、一定金額を加算することもできます。 |
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① 倒産の事態 |
取引先の「倒産」とは、【表1】に示す事態が取引先事業者に生じることをいいます。
なお、取引先に倒産の事態が複数発生している場合には、共済契約者が、売掛金債権等の回収が困難と判断した最初の倒産の事態が「倒産日」となります。この「倒産日」から6か月を経過した場合には共済金の貸付請求を行うことはできません。 |
【表1】 倒産の事態
倒産の事態 |
倒産日 |
法的整理 |
破産手続開始、再生手続開始、更正手続開始、
特別精算開始の申立てがされること |
申立てがされた日 |
取引停止処分 |
手形交換所に参加する金融機関によって、取引停止
処分を受けること |
取引停止処分の日 |
私的整理 |
債務整理の委託を受けた弁護士等によって、共済
契約者に対し支払いを停止する旨の通知がされること |
通知がされた日 |
災害による不渡り |
甚大な災害の発生によって、手形交換所で取引できる
手形などが「災害による不渡り」となること |
当該手形などの手形
交換日又は呈示日 |
特定非常災害に
よる支払不能 |
特定非常災害により代表者が死亡などした場合に、
弁護士等によって、共済契約者に対し支払いを停止する
旨の通知がされること |
通知がされた日 |
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② 返済期間、返済方法 |
返済期間(6か月の据置期間を含みます。)は、貸付額に応じて、【表2】のとおり均等分割により毎月返済します。
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【表2】 経営セーフティ共済の返済期間
貸付額 |
返済期間
(6ヶ月の据置期間を含みます。) |
5,000万円未満 |
5年 |
5,000万円以上
6,500万円未満 |
6年 |
6,500万円以上
8,000万円以下 |
7年 |
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(3) 一時貸付金 |
① 貸付限度額 |
一時貸付金の貸付限度額は、解約手当金の95%の範囲内です(すでに貸付けを受けている共済金や一時貸付金がある場合は控除されます)【表3】。
貸付額は、30万円以上(5万円単位)で、貸付金の使途は、運転資金、設備資金となっています。 |
【表3】 一時貸付金の貸付限度額
掛金納付月数 |
一時貸付金の貸付限度額 |
1か月~11か月 |
0円 |
12か月~23か月 |
掛金総額×75%×95% |
24か月~29か月 |
掛金総額×80%×95% |
30か月~35か月 |
掛金総額×85%×95% |
36か月~39か月 |
掛金総額×90%×95% |
40か月以上 |
掛金総額×95%×95% |
掛金総額が800万円の場合 |
800万円×100%×95%(760万円) |
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② 返済期間、返済方法 |
返済期間は1年で、返済期限に一括償還となっています。 |
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③ 貸付利率 |
一時貸付金の貸付利率は金融情勢に応じて変動し、一時貸付金の利息は貸付けの際に、一括で前払いとなっています。なお、平成23年4月1日以降に独立行政法人中小企業基盤機構が受け付けた一時貸付金については、「年0.9%」となっています。 |
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(4) 経営セーフティ共済掛金 |
経営セーフティ共済掛金の月額は、5,000円から20万円までの範囲(5,000円単位)で自由に掛金を設定することができ、掛金は預金口座振替で払込みをすることになります。
経営セーフティ共済掛金総額が800万円になるまで積立てができます。 |
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① 掛金の掛止め |
掛金総額が掛金月額の40倍以上に達している場合、掛金の掛止めの手続きをすることにより掛金の払込みを止めることができます。また、共済金貸付けを受けた場合も、6か月間、掛金の払込みを止めることができます。 |
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② 掛金の減額 |
掛金は、5,000円から20万円の範囲内(5,000円単位)で、増額、減額することができます。ただし、掛金の減額は、共済契約者の事業規模が縮小されたとき、事業経営の著しい悪化、病気又はケガ、急な費用の支出などにより、掛金の納付を継続することが著しく困難であるときなどに限定されるので、留意する必要があります。 |
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(5) 経営セーフティ共済の加入資格 |
一定業種において、「資本金の額又は出資の総額」、「常時使用する従業員数」のいずれかに該当する会社、又は個人の中小企業者となっています。 |