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新「賃上げ税制」適用を受けるには!?
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「賃上げ税制」は、元々アベノミクスの成長戦略の一環として所得を増やすための政策としてはじまり、この9年間で繰り返し改正されてきました。現政権の目玉政策とされる「賃上げ税制」ですが、以前の制度と何が変わったのか、適用を受けるために必要な要件や中小企業にとって有利な点を、以下にまとめてみました。
Ⅰ 賃上げ促進税制・旧所得拡大税制比較
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賃上げ促進税制 |
所得拡大促進税制 |
所得拡大促進税制 |
R4.4.1以降開始事業年度 |
R3.4.1以降開始事業年度 |
H30.4.1以降開始事業年度 |
給与の増加率 |
給与総額が前年対比1.5%増 |
給与総額が前年対比1円でも増
かつ
継続雇用者(2年間在籍者)の
給与総額が1.5%増 |
給与総額
の計算 |
役員報酬、役員の親族分の給与は除く |
控除率 |
(基本)前年からの給与増加額×15% |
控除率
上乗せ措置 |
給与総額が2.5%増 |
教育訓練費が前年比10%増 |
給与総額2.5%増 かつ
教育訓練費前年比10%増など |
基本+15% |
基本+10% |
25%
(基本+10%) |
両方満たして最大40%控除 |
Ⅱ 賃上げ促進税制の適用を受けるには?
①人件費の総額で最低でも1.5%増が要件(月額給与、賞与も含む)
今期の業績が良く、期末時点で人件費の総額が前期並みの場合は、賞与での調整が可能です。
②退職者の給与も含まれるので、注意が必要!
前年に退職者が多い場合、その退職者に支払った給料も踏まえ1.5%の要件をクリアする必要があります。 |
適用が厳しい? |
ベテランが退職し、新人が入社→全体の人件費が低下
※雇用者数は同じでも、給料の総額が減る可能性も! |
適用しやすい |
新たに事業所を開設し、新規に多数の雇用をした→全体の人件費が増加 |
③控除限度額に要注意!
税額控除は法人税額の20%が限度となります。そのため、赤字法人や繰越欠損金により所得が0円となる会社にはメリットがなく、また人件費を増加させた分利益が減ると法人税額も減り、控除限度額も下がります。
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Ⅲ 賃上げ促進税制の控除税額の計算
例えば、賃上げ前に利益(所得)500万円を見込んでいる会社が、賃上げ税制の恩恵を受けようとする場合、人件費3,000万円、教育訓練費100万円は前年も同様だったと仮定すると、賃上げと教育訓練費の増額分、利益(所得)が減ることになりますので、控除限度額が縮小し、全額控除が受けられないことがあります。 |
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控除税額 |
控除限度額 |
利益(所得) |
法人税額 |
限度額(法人税20%) |
人件費1.5%増 |
45万円(3,000万円の1.5%)×15%=6.7万円 |
455万円 |
68.2万円 |
13.6万円 |
人件費2.5%増 |
75万円(3,000万円の2.5%)×30%=22.5万円 |
425万円 |
63.7万円 |
12.7万円 |
人件費2.5%増+
教育訓練費10%増 |
75万円(3,000万円の2.5%)×40%=30万円 |
415万円 |
62.2万円 |
12.4万円 |
控除率、控除税額が増加しても、 控除限度額(法人税額の20%)を超えると控除は受けられません!
Ⅳ 上乗せ措置の適用について
上乗せ措置が受けられるからと、賞与の増額や期末に教育訓練費を使うのは上記の限度額を検討してからにしましょう。控除限度額により恩恵を受けられない場合があります。
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